県指定有形文化財 木造聖観音坐像

県指定 木造聖観音坐像(平安時代後期)

平泉藤原氏の時代に因んだ仏像
 東川院から約1㎞東の月山には、安永風土記によると藤原秀衡公の開基とされる真言宗弥陀有頂山観音寺が所在していましたが、明治初期の廃仏毀釈により廃寺となり、仏像や山門、鐘桜堂など一切が明治40年に東川院に移転安置され、本像もその伝世品のひとつとなっています。
 同風土記において運渓の作であると伝えられる本像は、像高113.7cmで寄木造とし、漆箔で仕上げています。光背は透かし彫りで、頂部に大日如来1体と飛天8体を配しています。台座は高さが約80cmの九重蓮華座で、台座の裏には「本願観音寺住、実名興範善意坊、重蓮花建立、寛文七丁未六月十七日、大原村和光院、牛石村明覚坊、建武五戊寅四月八日、聖観音坊、仏師滝知房」と記載されています。このことによって、寛文7年(1667)に修理が施されたこととともに、建武5年(1338)に仏師の滝知房によって制作されたものと理解されてきましたが、最近の研究では墨書は台座のみで、造像年代は平安末期(12世紀)の見解が有力となっており、平泉文化との深い関連が推察されます。昭和41年3月8日県指定

所在地 大東町渋民字小林 東川院

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